ミニ太成長記録09:慢性肺疾患と呼吸管理2
赤ちゃんの肺の機能は妊娠32週前後で完成・成熟するため、それより前に誕生した赤ちゃんは肺の機能だけでなく自発呼吸・血液の循環などが未熟な状態。そのため、呼吸の補助が必要不可欠です。
24w1dで生まれたミニ太の場合、NICU/GCU入院中は口から気管に直接管を通すタイプの人工呼吸器(SIMV→HFO)→生後53日目に 鼻からの人工呼吸器であるCPAP → 鼻カニューレ →(数日間だけ) 何もつけない、という流れでステップアップさせて頂きました。(現在自宅にて酸素療法継続中)
本記事では、お世話になったCPAP/DPAPの酸素療法について備忘録として綴っています。
- 慢性肺疾患のお話:ミニ太成長記録03:慢性肺疾患
- 慢性肺疾患に関わる呼吸管理のお話1(口の人工呼吸器について):ミニ太成長記録05:呼吸管理1
【読み進まれる前に】
- 以下で説明している内容は素人(非医療従事者)がミニ太の入院時に先生にお伺いしたお話、ミニ太が入院中実際に使用していた実機の情報などから個人的に調べてまとめているものです。そのため記載事項に誤りがある可能性も充分あります旨ご了承下さい。
- 本記事ではミニ太の写真がちょいちょい登場します。顔は処理してありますが、超未熟児の画像を見るのはちょっと..という方はご留意下さい。
CPAP/DPAP
CPAP(シーパップ)は「持続的気道陽圧(Continuous Positive Airway Pressure)換気」を指します。
専用の鼻マスクを 装着して、装置から圧力がかかった空気を鼻から気道(空気の通り道)に送り込み、気道を広げて呼吸の補助を行います。
鼻に装着するため、CPAP、もしくはn-CPAP(nはNasal:鼻の、の意)と表記されることが多いようです。
さらに、1990 年代に「Infant Flow System」という新しいNasal-CPAP が開発され,これがDPAP(Directional Positive Airway Pressure)と呼ばれているようです。
最近では、さらに新しい機器として二相式換気を実現する「SiPAP」(Siは深呼吸/ため息のSighが語源)というものもあるようですね。
本記事ではCPAPで記載します。
下の写真で言うと、ミニ太の顔前面/鼻部分から出ているチューブが2本あるのがご確認頂けるかと思います。
うち1本からは装置から陽圧のガス(吸気ガス)が赤ちゃん=患者に送られ、もう1本へは呼気ガスが排出されるものと思われます。
ミニ太がお世話になったのは、口からの人工呼吸器の時と同様、Drager(ドレーゲル)社のものでした。
鼻部分への固定は、ほっぺ~後頭部まで繋がるゴム紐+マジックテープのようなものがついたアタッチメントです。
(写真で言う、細長い2本の白いテープのようなもの)
端のマジックテープ部分を接着させるため、CPAP利用の赤ちゃんはみな白いコットンの帽子をかぶっていました。
また、2本のチューブと鼻の接続部分は、2種類ありました。
- 鼻を覆うタイプ(ネオマスク)
- 鼻の穴に合わせた、2本の突起があるタイプ(プロング)
1.は鼻全体を覆うので赤ちゃんが楽なぶん、ズレやすいというデメリットもありました。ミニ太はこのタイプはすぐ接続部分と前述の白いアタッチメントの間に手の親指を突っ込んで、しれっと外して/ズラしてはサチュレーションを下げて看護師さんにご迷惑を掛けていました…。
2.のタイプは鼻孔に刺さるので空気の逃げが少ない・ずらしにくい反面、鼻がぐぐぐっと押し上げられるため、赤ちゃんのお鼻の形がもれなく上向きになります。
ハハは看護師さんと「ブヒブヒ(豚)」タイプと呼んでいました。
ミニ太の状況に応じ、1.と2.を交互に使って頂いていました。
CPAPと、この前段階でミニ太が装着していた口からの人工呼吸器の最大の違いは以下だと思います。
- SIMV/HFO呼吸器:呼吸器の管が口の中(気管)に直接つながっている → 口の自由がほとんどなく、声が出せない
- CPAP:鼻にマスクのようなカバーを装着する。→ 口がかなり自由なため、声を発せられる&口で行う動作が実施可能
実際には、人工呼吸器の状態でも泣き声はかすかに聞こえるのですが、それは保育器(クベース)の扉を開いて耳を澄まさないと分からない程度。
CPAPに変われば口がフリーになるため、「口ですること」がいろいろ可能になります。
ミニ太もCPAPにステップアップしてから、
- 大きな声で泣く(お腹がすくとすぐよく泣くので、NICUの看護師さんたちからは「おこりんぼミニ太くん」というあだ名が付けられました^^;)
- おしゃぶりをする
- 哺乳瓶でのほ乳・直母(病院ではちょくぼ、と呼んでいました:つまりおっぱいですね)
が順次開始となりました。
なお、「口がかなり自由」とあるのは、CPAPに変わってはじめのころはまだ全ての母乳量を口から哺乳する力は備わっていない為、上写真の通り栄養チューブ(母乳を直接胃に送り込むチューブ)は口にあったためそのように記載しています。
そのチューブも、ステップアップすると鼻からに変わります。
CPAPから鼻カニューレへ
ミニ太は慢性肺疾患のため、他の周りのNICU入院中赤ちゃん達に比べると人工呼吸器・CPAPの期間が長かったように思います。
CPAPのチューブを付けたまま抱っこや哺乳瓶での母乳与え等をするのは、チューブのズレや引っ張り・絡まりなどを気にしなければならないために大変でした。
でも生後78日、CPAPになってからさらに20日後に、ようやくあの長いチューブやブヒブヒとはお別れし、晴れて「鼻カニューレ」に変更となったのでした。(ただしこの後に未熟児網膜症手術があったため、一時的にまたCPAPに戻ったりもしたのですが^^;)
鼻カニューレは「人工呼吸器」という機器ではないので、鼻カニューレになる=人工呼吸器からの卒業、という事でもあります。
鼻カニューレ~退院前の呼吸管理状況については後日別記事にてご紹介できればと思います。