ミニ太成長記録04:鼠径ヘルニア
2018年11月現在、ミニ太が抱えている疾患は主に以下の4つです:
- 慢性肺疾患:新生児科:人工呼吸器を長期利用したことによる、肺の損傷(炎症)。在宅酸素療養中。
- 未熟児網膜症:眼科:早産による、眼球内血管の異常な成長。NICU/CGU入院中にレーザー治療実施、定期経過観察中。
- いちご状血管腫:形成外科:良性の血種。3ヶ月に1回定期レーザー治療中。
- 鼠径(そけい)ヘルニア:小児外科:定期経過観察中。
本記事では4.「鼠径ヘルニア」について記したいと思います。
鼠径ヘルニアとは
ヘルニアの前に、まず「鼠径(そけい)」について。鼠径とは左右の大腿部の付け根にあたり、お腹と太ももの間、下腹部の三角形状の部分を指します。
ヘルニアは聞いたことがある方も多いと思いますが、「脱腸」、つまり本来あるべき部位からズレて飛び出している状態です。椎間板ヘルニア(椎間板という軟骨が飛び出して神経を圧迫する)などが有名どころでしょうか。
上記を合わせて「鼠径部分のヘルニア」、腹壁の一部から腹腔内臓器(腸管など)が飛び出し、鼠径部がぽっこり腫れているような症状です。
男の子と女の子では腫れる/膨らむ場所が若干異なります。
いくつかサイトを拝見・拝読しましたが、以下の3つのサイトが非常に勉強になりました。
詳細な図入りで、男の子・女の子別に分かりやすく記載されていました:
鼠径ヘルニア(だっちょう)のおはなし - 藤枝市立総合病院
実際の症例/手術の写真などが豊富です:
鼠径ヘルニア - 昭和大学医学部外科学講座
文章のみですが、こちらもシンプルにまとまっています。
小児外科で治療する病気:鼠径(そけい)ヘルニア - 小児外科学会
鼠径ヘルニアの発症:ミニ太の場合
526gで誕生したミニ太。面会初期のころは、ミニ太の手の5本の指全てがハハの左手親指の爪に全部収まるような小ささでしたので、そりゃー鼠径部=タマタマ部分もミニミニでした。例えるなら、タマタマは大粒程度の納豆1粒。本当に。
小さいなー、可愛いなー(笑)と思っていたのもつかの間、NICUにお世話になって1ヶ月経つか経たない頃、ある日オムツ替えを処置させて頂いたときにふと
「…あれ?タマタマが急に大きくなった?!?」
あんなに納豆粒サイズだったのが、ウズラの卵級に。いや普通に考えればウズラの卵は小さいのですが、ミニ太の体格比からすると明らかにサイズ間違い。例えるならアレです、信楽焼の狸さん。
看護師さん経由で質問してみたところ、
「あ、ミニ太くん、鼠径ヘルニアになっているんです。ただ本人は全然痛がっている様子もないので様子見の状態です」
とあっさり回答頂きました。
鼠径ヘルニアの処置
鼠径ヘルニアでタマタマが狸さん並に膨らんでいても、通常痛みはないようです。そして手で圧迫すると、お腹の中に入り(腸が在るべき場所に戻り)、膨らみが消失します。
NICU/CGUに入院中は看護師さんが「1日1回、オムツ替えの際に戻るか必ず確認する」という処置を実施頂いていました。
そして退院後は親であるハハが主に処置するのですが。
初めのうちは痛くないかな、腸を潰しちゃったりしないかな、などとかなりドキドキでしたが、コツが掴めると手際よく戻すことが出来るようになりますし、気持ち良いくらいにグニュニュニュッ、と戻ります^^。そしてすぐまた膨らみます(笑)。
タマタマ下部から股間の右上/左上に、下から斜め上に押し上げるような感覚です。(…伝わるか…?)
嵌頓(かんとん)について
上述の通り、手で圧迫して腸がお腹の中に戻ってくれれば何の問題もないのですが、1点注意しなければならないのが「嵌頓(かんとん)」です。
これは飛び出した腸管がヘルニアの袋の入口で締め付けられてしまい、もとに戻らない状態を指すものです。
嵌頓になってしまうと腸管の血流が悪くなり(=血行障害を起こし)ますので、激痛、そけい部の皮膚変色、嘔吐などを伴うことがあります。
ミニ太も今までで2回、嵌頓を発症しています。
1回目はNICU入院中、2回目は退院後、生後8ヶ月の時(夜間の救急外来で受診)。
やはり相当痛いのか/違和感があるのか、ミニ太の普段の泣き方とは全然違いました。
そしてオムツをオープンしてみると、タマタマが本当にパンパンに膨らんでいる。
例えるなら、まりも羊羹? あの楊枝で表皮の風船をパチン、て割る一口サイズの羊羹みたいな状態。
そして一部分カッチカチに硬くなっており、押しても全然戻る気配がない。
挙句の果てに、(タマタマが腫れ過ぎて)チ〇チンがタマタマの中に埋もれてしまっている。
初めて見た時はかなりの衝撃を受けました。
幸い嘔吐や変色などは無かったのですが、体勢を変えるとタマタマがどこかに触れて痛むのか号泣、何とか寝ても5~10分くらいですぐ目を覚ましてしまいまた泣く…というような状態を繰り返していました。
結局その2回とも、小児外科の専門の先生が押し戻して下さったのですが、30分以上かかりました。
鼠径ヘルニアの治療
嵌頓になったとしても、今のところのミニ太のように鼠径ヘルニアが最終的に押して戻れば良いのですが、戻らない場合、そして根本の治療法としては「手術」になります。年少児の鼠径ヘルニアは自然に治ることも一部あるようですが、小児外科の先生曰く「まず殆どは自然治癒はない。」とのこと。
手術概要としては、ヘルニアの原因になっている腹膜の出っ張りをなくし、お腹に圧がかかっても臓器が 脱出しないようにします。
ただし、この手術は全身麻酔の実施などそれなりのリスクを伴う手術でもあります。
そのため、特にミニ太のような未熟児の場合は「緊急性がないのであれば最低1歳前後、体重7-8kgくらいに増えるまで手術は待つ」というスタンス。
(嵌頓で戻らない場合はその限りではない/緊急手術になりますが)
現在ミニ太は生後9ヶ月ですがまだ体重は5kgをちょこーっと超えた程度。
なので、現時点では3ヶ月に1回の定期経過観察で小児外科にお世話になっています。
嵌頓にならないことを祈りつつ、体重が増えて手術で完治する日を待ちつつ、日々ハハがタマタマをモミモミ/押し戻しをしていますw。
P.S.
ヘルニアの難点あるあるとしては、以下ですかね。
- 嵌頓が怖いので、あまり遠出できない(幸い親戚は近距離範囲なので遠出の用事は今のところ無いのですが)
- タマタマがデカいので、オムツが「おしっこでパンパン」なのか「ヘルニアでパンパン」なのか分かりにくい
- 公共の場でのおむつ替えの際もタマタマプッシュ作戦(?!)を実施しているので、傍から見たらアヤシイ