ミニ太成長記録08:RSウイルスとシナジス

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日本列島も(まだ変に暖かい日もありますが)気温が下がり乾燥も進み、インフルエンザ大流行の季節がやってまいりましたね。
今年も相変わらずのワクチン不足で、予約/接種不可能なクリニックもちらほら。
夫の会社では今年珍しく勤め先に医師が来てくれ(健康診断みたいな感じ?)、希望者にはクリニックに赴かずとも注射を受けられる日が出来ました。(費用は社員持ちですが)

さて未熟児ちゃんには、インフルエンザとはまた別に怖いウイルスの病気があります。
他の未熟児ちゃんブログを覗かれても度々登場する、「RSウイルス」および/もしくは「シナジス」についてまとめておこうと思います。

ミニ太も、初夏から毎月シナジス注射を行っています。

RSウイルスとは

こちらのサイトに分かりやすく記載されています。

急性呼吸器感染症であるRSウイルス感染症(respiratory syncytial virus infection)の原因として知られるウイルスです。
RSウイルスは、ヒトが生涯にわたって何度も感染を繰り返すウイルスです。新生児にも感染し、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%が初感染します。
毎年、季節性インフルエンザに先行して夏ごろから流行が始まります。秋に入ると患者数が急増し、年末をピークに春ごろまで続きます。
感染症に関する法律で、5類感染症に指定されています。丸石製薬株式会社「感染対策コンシェルジュ」より)

冒頭の特に乳幼児に多く、保育園・幼稚園などで問題となりますが、高齢者の長期療養施設でも集団発生することがあるようです。

 

RSウイルス感染症の症状

RSウイルスにかかると、まず「風邪のような症状」ではじまります。
そして、そのまま「風邪に似た症状」ですむこともあれば、重症化して「急性呼吸器感染症」と呼ばれる肺炎や細気管支炎になることがあります。
大人であれば感染してもかぜの症状ですむことが多いのですが、新生児や乳幼児が感染すると重症化しやすく、入院が必要になる場合もあります。

実に乳幼児の肺炎の50%はRSウイルスによるものですし、細気管支炎に至ってはその原因の50~90% がRSウイルスと言われています。丸石製薬株式会社「感染対策コンシェルジュ」より)

潜伏期間の多くは4~5日間とされています。
まずは上気道炎と呼ばれる「発熱、鼻水、咳(嘔吐を伴うこともある)、のどの痛みや腫れ」などの症状が2~3日続きます。….この症状だけを見ればまさに「風邪」ですね。
その後ウイルスが下気道に入り込んでいってしまうと、症状は悪化し、以下の症状が起きる可能性があります。

  • 呼吸が浅く、呼吸数が増える
  • 呼吸時ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸音がする喘鳴(ぜいめい)
  • 陥没呼吸(息を吸い込む時に胸のあたりが凹む)
  • 鼻で息を吸うようになる
  • ほ乳ができなくなる
  • チアノーゼ(呼吸困難で鼻やくちびるなどが青黒くなる)

生後4週未満だと、軽症でも突然無呼吸発作を起こすことがあり、乳幼児突然死症候群の原因の一つとも考えられています。

重症化(可能性含む)の場合、特に未熟児ちゃんの場合は入院することがほとんどです。
治るまでに要する期間は通常7~12日で、入院した場合は3~4日で改善するとされています。

感染経路

RSウイルスの感染経路は「飛沫感染」および「接触感染」です。空気感染の症例は報告されていないようです。

シナジスとは

ハハもミニ太がシナジス注射をすることになり初めて知りましたが、シナジスはワクチンではありません
RSウイルスのワクチンや特効薬はありません

シナジスの一般名は「パリビズマブ(Palivizumab)」といい、遺伝子組み換え技術によって作られた「RSウイルスに対するモノクローナル抗体」製剤です。
モノクローナル抗体とは、人が本来持っている免疫システムを薬に応用したもので、一つの抗原(ウイルス)を標的にして作用するものです。

つまりシナジスはRSウイルスを標的とする抗体で、抗原であるRSウイルスを取り囲み、RSウイルスが体内で増殖するのを防ぐ役割を担います。

成人ではウイルスが身体に侵入しても免疫システムが機能する為ウイルスの増殖を防ぐ仕組みがすでに備わっていますが、乳幼児、とりわけ未熟児や呼吸器・心臓に疾患のある赤ちゃんではその仕組みが未発達なんだそうです。そのため重症化することがあります。

  • 乳幼児:免疫システムが未発達→抗体を作る力が弱い
  • 未熟児(早産児):母体から受け取る抗体の量が少ない

成人が感染した場合の治療は、基本的には症状をやわらげるための酸素投与、輸液、呼吸管理などが実施されるようです。

シナジス注射が必要なのは

主に以下のような赤ちゃん/お子さんに適用されているようです。

  1. 早産児1:母体の中にいた期間が28週以下で、RSウイルス流行開始時に12ヵ月齢以下の乳児
  2. 早産児2:母体の中にいた期間が29週~35週で、RSウイルス流行開始時に6ヵ月齢以下の乳児
  3. 慢性肺疾患持ちの乳児および幼児
  4. 先天性心疾患を持つ乳児および幼児
  5. 免疫不全を伴う乳児および幼児
  6. ダウン症候群の乳児および幼児
    ※3.以降はRSウイルス流行開始時に24ヵ月齢以下)

ミニ太は「1.」に該当します。

シナジス注射の頻度・方法など

シナジスは流行期(主に秋から春頃)を通じて、月に1 回投与されます。
これは、注射の効果が約1ヶ月間しか持続しないためです。

注射方法としては、筋肉内、太ももの外側に注射されます。
注射の液量は赤ちゃんの体重に応じて決定され、1mlを超える場合は2箇所に分けて投与されます。

ミニ太も、毎月の新生児科発達フォロー外来時に、新生児科の担当先生より毎月左右交互の太ももに注射して頂いています。
注射量についても、NICU退院直後は0.6mlだったのが、先月は0.8mlにまで増えています。(今のところ1箇所)

また、シナジスを注射していても、他の小児予防接種ワクチンやインフルエンザワクチンの接種スケジュールを変更するような考慮は必要ありません

シナジス注射の費用

シナジスは健康保険の適用を受けているため、少なくとも0歳児は乳幼児医療費助成制度により自己負担額ゼロ円のケースが殆どかと思います。
(ミニ太も自己負担額無しでお世話になっています)

ただし1歳以降などは保護者の所得額により助成されない=自己負担となる場合がありますので、いつまで(無料で)接種となるかは、RSウイルスの流行時期とその時の赤ちゃん/お子さんの状態によりけりだと思います。

ミニ太の場合

前述した通り、ミニ太もNICU/GCU退院後の生後5ヶ月から毎月シナジスの注射を打って頂いています。

おかげ様で、今のところはRSウイルス感染のような症状は出ておりません。
新生児科の先生からは「数歳差の兄弟がいる場合は感染しやすい」と伺っており、実際ミニ太と近い時期にNICUを退院した赤ちゃん達も、そのようなお子さんが身近にいるご家庭はかなりの確率で病院に舞い戻り=RSウイルス感染で入院、となっているようです。

我が家にもお姉ちゃん(=ムスメ)がいますが、既に乳幼児期はとっくに卒業している7-8歳のため、ある程度の免疫システムが出来上がっているのが幸いかもしれません。

が、これからの季節こそが要注意ですね。

 

参考サイトなど

本記事を記した際、またNICU入院中にハハが読み漁ったもので、分かりやすかった/勉強になったサイトをご参考までに。

 

また、ミニ太が入院していた病院で新生児科の先生から頂いたこちらの小冊子が特に大変勉強になりましたので備忘録として記させて頂きます。
ハハが頂いたのは2016年発行の冊子だったのですが、最新版がPDFで公開されていましたのでリンクしておきます。

これからシナジスの注射をするお子さんをお持ちの親御さんへ
提供:アッヴィ合同会社
制作:リノ・メディカル株式会社
監修:楠田 聡先生(東京女子医科大母子総合医療センター教授)

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