ミニ太成長記録11:慢性肺疾患と在宅酸素療法

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本記事では、在宅酸素療法(HOT)について綴っています。

 

赤ちゃんの肺の機能は妊娠32週前後で完成・成熟するため、それより前に誕生した赤ちゃんは肺の機能だけでなく自発呼吸・血液の循環などが未熟な状態。そのため、呼吸の補助が必要不可欠です。

24w1dで生まれたミニ太の場合。
NICU/GCU入院中は、口/気管に直接管を挿入する人工呼吸器(SIMV→HFO)→生後53日目に抜管、鼻に管を挿入もしくは鼻マスクタイプの人工呼吸器である CPAP 経鼻カニューレ →(数日間だけ) 何もつけない、という流れでステップアップさせて頂きました。

そして退院後も「酸素お持ち帰り」となり、2019年2月に機材一式返却=在宅酸素療法終了となりました。

 

在宅酸素療法とは

まず、酸素療法について。酸素療法とは、「空気より高い濃度の酸素を吸入し、体内に取り込む」ことです。
さらに、その酸素療法を自宅で実施することを在宅酸素療法(略称HOT、Home Oxygen Therapyの略)といいます。

慢性肺疾患持ちの未熟児ちゃんの親御さんであれば馴染みのある値だと思いますが、我々が普段吸っている空気中の酸素濃度は約21%と言われています。肺に疾患がある場合、これよりも濃い濃度の酸素を吸わないと体に必要な酸素を取り込むことが出来ない訳です。
そのため、必要装置を用いて濃い濃度の酸素を自宅でも補います。

ハハは、ミニ太が必要になると分かるまでは、お年寄りの方が酸素ボンベのキャリーを転がしながら経鼻カニューレをつけて生活されているのを巷で見かけるくらいの知見しかありませんでした。

 

NICU/GCU退院前の「酸素なしチャレンジ」

実はミニ太、退院前の2週間前くらいに「酸素(補助)をまったくつけない」日を何日か設けて様子を見た事もありました。
チャレンジ前は酸素流量「0.1L/分」程度の経鼻カニューレで1週間以上生活しており、ミニマム状態だったのです。

酸素なし初日。酸素を外しても(=外気のみ、一般人と同じ生活)驚くくらい全く問題なく経過。
特に機嫌が悪くなることもなく、ミルクも今までとさほど変わらない量を飲む。
チューブが一切ないので顔まわりもスッキリ、気楽に抱っこや授乳も可能。
「おぉスゴイ♪ 何もお持ち帰りなしで退院できるか!!」と、ハハはちょっぴり期待を膨らませていました。

…が、酸素無し初日・2日目までは問題なかったものの、3日目から

  • サチュレーションが下がる
  • 呼吸数が増える
  • 陥没呼吸が顕著になる

症状が現れ始めました。チアノーゼの症状はなかったのですが。ミニ太、バテてきました^^;。

呼吸数の増加やサチュレーション低下は体重増加に影響が出ます。(体重をどんどん増やさないといけない時期なのに、呼吸で余計なエネルギーを消費してしまい体重増加を妨げてしまう)

そのため、鶴の一声ならぬ新生児科先生の一声、
酸素、持ち帰りましょう。酸素補助なしのギリギリのところで生活して肺を酷使・エネルギー消費するよりは、安心料の意味で酸素を持ち帰り、ミニ太くんの肺/呼吸の成長を待って余裕を持って酸素から卒業しましょう。」
から、「酸素お持ち帰り」/退院後の自宅での在宅酸素療法が確定、となったのでした。

 

退院1w前:在宅酸素機器類の説明を受ける

ミニ太の退院日が決定した数日後、退院日のちょうど1週間前だったと記憶していますが、在宅酸素機器レンタル会社のご担当者が物品一式を携えて直接GCUにお越し下さり、ハハは各種物品の操作説明を受けました。
夫婦で出席しても良かったようですが、「全然難しい操作ではないので、お母さんだけで充分だと思いますよ」と先生談。

GCU退院までは、GCU内でその操作説明を受けた実機を使用。
退院数日前にそのレンタル会社の方が自宅に来て下さり、病院で説明を受けた機器と同一の機種・物品一式を持って来てくれます。
退院後はそれを使用する、という流れです。

お借りした物品は以下の通り。

  • 酸素濃縮装置
  • 酸素ボンベ×5本 + 携帯用のショルダーバッグ
  • パルスオキシメーター(ハンディタイプ)

(在宅)酸素およびサチュレーションモニターは、医師からの「処方箋」という扱いになり、患者側(ミニ太とその家族)がレンタル会社さんに何か支払うことはありません。
酸素ボンベのストックが無くなったときや、酸素濃縮装置の定期メンテナンス(3ヶ月毎)に関してはレンタル会社さんに直接連絡をし、日程調整を行います。

以下では、それぞれの物品について詳しくまとめています。

 

酸素濃縮装置

酸素濃縮装置とは、空気中の酸素以外のガスを吸着して酸素濃度を高めて排出する機械です。

我が家にやってきたのは、コンフォライフという機種でした。

大きさとしてはちょうど加湿機能付きの空気清浄機程度。バッテリーを積んでいるため重さは空気清浄機の比ではないですが(カタログには「軽量設計の13.5kg」と記載が…)、とりあえず自宅のスペース占拠!!…みたいな機械ではなく良かったです。

足元にコロコロがついており、転がして移動することも可能です。(下のカーペットはレンタル会社さんが一緒に持って来てくれました)

操作は至って簡単。

  1. コンフォライフの電源プラグをコンセントに差し込む。
  2. 運転スイッチをひねる。…以上
左が運転ON/OFFつまみ、真ん中が酸素出口、右が酸素流量設定

空気の設定流量は前回の設定値を記憶してくれているので&自宅設置時にレンタル会社の方が設定してくれるので、まず動かすことは無いです。
値が消えたとしても、▲▼で選択するだけですが。

酸素の流量は最小0.25L~最大5L/分まで設定できますが、ミニ太は最小の0.25L設定です。
病院では0.1L/分で問題なく生活していましたが、機械の最小値が0.25Lなので余裕を持った酸素濃度となりました。

前述の通りバッテリー内蔵の為、非常時は13時間程度電源無しでも稼働します。幸い、今のところバッテリー稼働の経験はありませんが。

装置上部、中央部分から出ている太いチューブは「5m程度」と「15m程度」など2種類の長さを提供頂けました。
我が家は2階戸建ての為、15mの方を使い、ミニ太が酸素チューブを付けたまま2階リビング(日中の生活場所)・1階寝室(夜の就寝)と行き来できるように装置の置き場所を考えました。

太いチューブの先は、消耗品としてこちらもレンタル会社さんより提供される経鼻カニューレを接続し、ミニ太に装着します。

 

携帯用酸素ボンベ

退院時に、ボンベ5本と携帯用のバッグをご提供頂きました。

酸素ボンベ自体は、酸素ボンベ本体と「(酸素)流量調整器」の、2つのパーツから構成されています。

酸素流量調整器というのが、ボンベ上部についている、こちら。

上の画像で言うと、緑のハンドルでボンベへの取り付け/取り外しを行います。
ボンベが空になったら、この流量調整器を新しいボンベに付け替えるわけです。

簡単な操作手順は以下の通り。

  1. ボンベに流量調整器しっかり取り付けたら、画像「0」の左にある突起部分に経鼻カニューレのチューブを差し込みます。
  2. 右の黄色いハンドル横にある「0」が酸素流量を設定するダイヤルなのですが、まずは「0」であることを確認します。
  3. 酸素ボンベの元栓をゆっくり「ひらく」側にひねります。
  4. 画像下部、緑の円内が現在接続されているボンベに残っている酸素の残量を示します。針が動き、緑部分までくる(=ちゃんと残量がある)ことを確認。
  5. 右の黄色いハンドルで流量を設定し(0.25~4までの目盛りがあります)、酸素がカニューレから出てくることを確認。

…しっかしこのボンベ、重いです。本体のみで1.5kg、酸素流量計を取り付けた状態だと総重量2.0kgになります。(体重計で計ってみた人w)

ボンベ本体には、ミニ太の流量0.25L/分であれば13時間弱もつぶんの酸素が詰められています。

 

ミニ太の退院後数ヶ月は、外出時の携帯必需品。
ベビーカーであれば下のワゴンに入れれば楽なのですが、ベビーカーで行くには狭いようなところ/混雑場所に赴く場合は、こちらの2.0kgをリュックの中に入れて背負い、胸にはミニ太を抱っこ紐で抱えて出掛けていました。
…まー鍛えられます(笑)。リュック背負うのもおろすのも一苦労。リュックもすぐ破けそうになりました^^;。

現在は夜間のみの酸素補助になったため、普段の生活における出番はほぼ無くなっています。
酸素卒業までに、遠出(1泊旅行)などがあった場合に活躍予定。

 

パルスオキシメーター

パルスオキシメーター(pulse oximeter)とは、検知器(プローブ)を指先などに装着して、脈拍数と酸素濃度(正確には経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2))をリアルタイムで モニターするための医療機器です。

NICU/GCUで24時間付けていて、サチュレーションモニターの値で一喜一憂していたあれの簡易版です。
基本はミニ太の様子/異常を家族が見守る訳ですが、この機器あれば数値でミニ太が苦しいかなどが分かるので、特に退院直後は安心でした。

ミニ太のお世話になった病院では、レンタル会社さんから説明を受けた際

  • 「測定精度は高く酸素濃度や呼吸数が波形でも確認できるが、据え置き型/持ち運びできない」
  • 「精度はイマイチで、値が表示されるだけだが、バッテリー内蔵で40時間の持ち運び可能」

いずれかの機種からの選択制でした。

後者の機種は最近レンタルを始めたばかり、ということだったので、精度の微妙感は気になりながらも(笑)、波形が出てるとその波形ばっかり気にしてしまうかも…それより携帯できた方が退院直後の外出時は安心だよね、という事で、あまり迷うことなく後者をお願いしました。

そして我が家にやってきたのはこんなの。

(測定者:ハハ)

一昔前の、トランシーバーサイズでしょうか。重量も300g弱。ポケットや、ベビーカー横にすっと置いておけるサイズです。
モニター~指に付けるプローブ部分は消耗品で、定期的に交換が可能です。

上図ではハハが指先に付けていますが、ミニ太では指先では小さすぎる為、足の甲と裏を挟む形で装着しました。

酸素濃度と心拍が計測出来、あらかじめ機器に設定されたリミット値を上下すると、アラームで知らせてくれます。

退院直後はお風呂時以外終日装着でしたので、ちょっとアラームが鳴るだけでビクビクしていました。

でも幸い、アラームの原因はミニ太が足をよく動かすことや、足にくっつけているテープ劣化による「測定エラー(数秒でも検知できないとエラー音)」が殆どで、平常心の時であれば97(%)未満を下回ることはありませんでした。(大泣きすると94とか叩き出す)

が、それも次第に値が上昇していき、ちょっとやそっと泣いた程度では97未満になることは無くなり、と同時に陥没呼吸も目立たなくなっていきました。

現在(※記事初投稿時の2018年12月)では、2週間に一度訪問看護の方が来て下さったとき、またふと思い立った時(笑)に抜き打ちでミニ太の足に装着し、サチュレーション値を確認しています。

 

…以上、長々とミニ太の在宅酸素療法について記してみました。

「在宅酸素!」とご紹介されている未熟児ちゃん(の親御さん)ブログは多いものの、実機の雰囲気や使い方・重さ・音などが書かれているものは少なかったので、近々我が家もHOT仲間(?!)だー、という方向けに、何か少しでも参考情報になれば幸いです。

 

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