ミニ太成長記録16:未熟児網膜症-レーザー治療編

本項では、ミニ太が発症した未熟児網膜症の治療内容についてまとめています。
(医師からの説明事項・治療後のリスク など)
ミニ太は「ゾーン2のステージ2・plus disease」という診断を受け、レーザー治療が確定しました。

  • 未熟児網膜症 記事#1:概要については→こちら  ※2019/01/20少し更新しました
  • 記事#2:NICU/GCUでの眼科検査については→こちら
  • 記事#3:未熟児網膜症病状経過(発症から手術まで)については→こちら
  • 記事#4:未熟児網膜症病状詳細(ゾーンって?ステージって? plus dieaseって?)については→こちら

未熟児網膜症とは(振り返り)

未熟児網膜症、略称 ROP(Retinopathy of Prematurity)。「網膜血管の未発達のために起こる網膜血管病変」です。

赤ちゃんの網膜の血管形成には最遅で妊娠40週ごろまで時間を要します。そのため、予定日より早く生まれた赤ちゃんの網膜の血管は、途中までしか伸びていません。
出生前後における低血圧、出生時の低酸素やその後の酸素供給などの要素が複雑にからみあい、血管の発達が影響を受けます。
その結果、微小な血管が出血したり枝分かれしたり蛇行したり変な方向へ伸びたりなど、異常な発達をすることがあるのです。

 

ミニ太の未熟児網膜症 発症経緯(振り返り)

※詳細はこちら→ 病状経過(発症から手術まで)

ミニ太が未熟児網膜症を発症、レーザー治療を行うまでの時系列経緯です。ミニ太は生後46日目(30週)から眼科検査がスタートし、検査初回から5週間後の生後81日目にレーザー治療を実施頂きました。

時期 眼科先生の所見 結果
1 生後46日目(30週) 血管の伸びがあまりよろしくない。現時点での治療の可能性50% 取り急ぎ経過観察
2 生後53日目(31週) 先週に比べると血管は伸びてきている。 経過観察でまた来週。
3 生後60日(32週) 血管があまり伸びていない… 経過観察でまた来週。
4 生後68日(33週) 前回診察からは血管は伸びてきているが、左目の血管に蛇行が見られる 経過観察でまた来週。
5 生後74日(34週) 左目の方が顕著だが、右目も血管の蛇行が見られる。次回治療について説明予定。 また来週。
6 生後81日(35週) 検査の結果、両目とも血管の蛇行および枝分かれが激しい為、治療決定 検査後、治療の説明を受けレーザー治療を実施。両目各1,500発のレーザー照射

 

治療前の眼科医からの説明

レーザー治療実施前に、同意書へのサインに先立ち病状の説明や治療方法の選択理由、治療後のリスクなどについて説明を受けました。
治療を実際に担当する眼科の先生と新生児科の担当医、ミニ太の担当看護師さんが同席のもと、こちらはハハ1名でした。
(ご夫婦同席で説明を受けている親御さんも多いです。我が家は夫の都合がつかなかった&ハハがある程度事前に調べ夫に説明していたこともあり、一任?! されていました)

 

病状の説明

眼科の先生が、A4 1枚の紙にすらすら文字と絵を書きながらミニ太の状態を説明下さいました。

視神経・血管・黄斑を図に描き、

眼の断面図

「黄斑は視力が出るところであり、ミニ太くんの目は、黄斑より先に血管は伸びている
ただし 1)血管の蛇行、2)網膜付近に、悪さをする脆い新生血管が360°全方向にちょこちょこ出来ている(=血管の怒張)
この新生血管を放っておくと、増殖膜となり、網膜を良からぬ方向に引っ張ってしまう
 引っ張られ過ぎると網膜剥離となり、失明に繋がる。
引っ張られないように、新生血管を焼き切る治療を予定している。」

なお、先生からは(一般的な情報ではないからか)未熟児網膜症の病態を示すステージ〇期という単語は発せられなかった為、ハハの方から「ミニ太の目は、ステージや期で言うとどのようなものでしょう?」と質問しました。
すると「ミニ太くんはStage2plus disease という状態です」と正式に回答頂きました。
また、“黄斑より先に血管は伸びている”ということで、「Zone 2という言い方をします。」という補足説明もありました。
(ここで「あ、国際分類が使われているんだな」と判断。)


※未熟児網膜症のStage/期・plus diseaseについては→こちら

 

治療方法

ミニ太の病状から検討される治療方法は以下2点。

  • 網膜光凝固術(レーザー)
  • 注射治療(アバスチン)

後者の注射治療は未認可であること、また主に黄斑付近まで血管が伸びていない場合に採用することが多いとの事でした。
ミニ太の場合、血管が黄斑より先に伸びている点、施術実績が多い点から、1.のレーザー治療を推奨する旨説明を受けました。
治療前想定では、片目1,000~1,500発程度になるだろうとの事でした。
(結果、両目とも最大値?の1,500発ずつだった訳ですが)

 

治療(後)のリスク
  • 追加治療の可能性
    →1度レーザー治療を行っても、再び新生血管が(異常)成長するすることも大いにあり得る。その場合はさらに追加でレーザー照射を行う。
  • 炎症反応・出血
    →レーザーを用いることにより、必ず起こる症状と聞きました。数日~数週間で引く(改善)していきます、との事。
  • レーザー治療により、無治療に比べ網膜が薄くなってしまうので網膜穿孔(もうまくせんこう;網膜に穴が開くこと)が起こりやすい
    網膜穿孔から、最悪の場合網膜剥離を起こしてしまうこともある。
  • 屈折異常
    →屈折異常により、近視・遠視などの症状が出やすい。
    ただしこれは未熟児網膜症発症者でなくても発生しうるものであり、幼少時からの眼鏡や愛パッチなど、対処方法は様々に存在する。
  • 弱視、斜視、強度の近視、白内障
    →こちらも未熟児網膜症発症者でなくても発生しうるが、発生の可能性は高まる。
  • 緑内障
    →眼の中の水晶体の後ろに増殖組織が発生してしまったり、治療後眼球の発育が悪い割に水晶体が大きいケースでは、眼圧が上昇し視神経に影響を及ぼすことがある。結果緑内障を発症することがある。

……

上記を一通りお伺いし、レーザー治療でお願いする旨を回答
同意書にサイン。
そしてその約2時間後(先にミニ太より治療緊急度の高い赤ちゃんがいたので)に施術と相成りました。

ミニ太は片目1,500発ずつ、計3,000発のレーザー照射でした
新生児科の先生曰く、ミニ太の出生週(24週)では1,500発は多くも少なくもない=平均的な照射数、との事でした。

 


 

以上、長文・複数記事にわたりましたが、取り急ぎ現時点(2019年1月現在)でお知らせできるミニ太の未熟児網膜症に関する情報は以上です。
記事を覗いて下さった皆様、ここまでお付き合い下さり本当にありがとうございました。

なお、視力の発育は3歳までに70%ほど完成するということらしく、またちょうどその頃から視力も測定可能になるため将来のおおよその傾向が明らかになるようです。

ミニ太1歳以降の経過については、また将来追記していければと考えております。

 

未熟児網膜症の経過・治療方法は赤ちゃんの病状により千差万別ですが、超未熟児の一例として何かのご参考になれば幸いです。

 

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